ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

ホッタラケの島 遥と魔法の鏡 (2009)

 母の形見の手鏡をなくしてしまった遥は、むかし母から聞かせてもらったおとぎ話を頼りになくしたモノが見つかるという神社へお参りをする。そこで偶然、変なキツネのお面を被った動物を見つけた遥はその後を追いかけ、ホッタラケの島にたどり着いてしまう。
 フジテレビ開局50周年記念映画で、遥役は同名の綾瀬はるかが担当。他にも遥の母に戸田菜穂、父に大森南朋、遥の友人・美穂に谷村美月と俳優キャスティングが多いが、遥とコンビを組むことになるテオには沢城みゆきを、島の主・男爵に家弓家正を起用している。そもそもフジテレビが主導の亀山千広プロデューサー作品だったり、ちょっと最近の作品では個人的には面白いが興行的成功に結びつかない作品が多い(「神霊狩/GHOST HOUND」「RD 潜脳調査室」「図書館戦争」)印象のあるProduction I.Gで、こりゃコケたかと思っていたのだが、意外にも夏休みの終わりの拾い物だった。(なお、興行的にはやはりコケた模様……)
 まず映像がキレイ。ちょっと一部残像が見えるところもあったが、2D背景と3Dキャラがすぐに馴染んでくる。ホッタラケの島は名前の通り人々がホッタラケにしてしまったものを集めて作られているまるでオモチャ箱をのぞき込んだかのような世界で、そこここに本来の用途とは違う扱いを受けているアイテムがあって(例えば蓄音機がただのイスとして扱われていたり)画面の隅から隅までチェックしてしまう。主交通機関として使われているらしいモノレール(?)は物語のキーにもなっているが、どこかのんびりとしていて郷愁を誘いつつ、いったいどんなテクノロジーで動かされているのかと気になってしまう。細かい仕掛けがあちこちにあって、全く飽きない。
 そしてやはりキャラクターの魅力だ。遥はもちろんながら、遥を支えて手鏡を取り戻す手助けをするテオや、テオをライバル視しているピカンタ、ビッキ、デカゴーの3人組、かつて遥が持っていたぬいぐるみのコットンら、わらわらと出てきながらも個性が溢れている。特に、コットンは非常にカワイイし作中のMVPと言ってもいい。
 惜しむらくは、フジテレビ開局50周年記念映画だったり、綾瀬はるかが主演だったりする割に宣伝が不足している気がするところで、高品質なアニメーションが楽しめる上にストーリーもしっかりと涙あり笑いありの娯楽作品に仕上がっている。この夏はシリーズ終盤直前の「ハリー・ポッターと謎のプリンス」や、3D上映で注目を集めた「モンスターVSエイリアン」「ボルト」、細田守の「サマーウォーズ」などいろいろとあったが、「ホッタラケの島」はホッタラケにされてしまうにはあまりに惜しい作品だ。