撫子の体に浮かんだ蛇の鱗のような跡、それは同級生が撫子にかけた呪い・蛇切縄だった。もはや一刻の猶予もない状態の撫子を救うため、儀式が行われる。解呪自体は簡単に済むと思われたが、予想以上に時間がかかるのを見て異変に気付く暦と駿河。蛇切縄は「好きだった男の子を撫子に振られてしまったクラスメイト」1つ分だけではなく、「撫子に振られた男の子」もあわせて2匹だったのだ。メメから「蛇切縄は暦なら触ることができる、ただし、今度は暦を襲ってくるだろう」と言われていたが、苦しむ撫子の姿に、思わず暦は手を出してしまう。
暦のツッコミ能力は買っているけれど、「誰相手であろうと首を突っ込んで救いたがる」性癖だけは好きになれない。熱血バカ主人公にはこういうタイプが多く、痛い目を見ることになるが、暦はこれまで何度痛い目を見て、どれだけ反省していないのか。自分を犠牲にすればすべての人間を救うことができるなんて、神にでもなったつもりか(と、前述の「熱血バカ主人公」の場合はライバルやヒロインに説教を食らうパターンもまた必定)。ひたぎは言った、「例え暦がそういう体(元吸血鬼なので回復能力が高い)でなくても同じ事(駿河のため死んでもいいという選択)をしただろうと、容易に想像できるのが悔しい」と。暦のことを「器が大きい」と評した「行き遅れメンヘル処女」だけれど、本当に器が大きいのはどちらだろう。
という原作未読者の初見感想を、一周してから回ってくると「でも、暦は鬼いちゃんだからしょうがないよね」と、理解できるところもでてくるなぁと。首突っ込んで命まで賭けることになった「傷物語」の後で、吸血鬼の眷属になっているので、もともと親切な性格ではあるのだろうけれど、それだけに「首を突っ込まずにはいられない」のが阿良々木暦なのだ。