ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

百日紅 Miss HOKUSAI(2015)

 @テアトル新宿 スクリーン1
 原恵一監督&氷川竜介によるメイキング映像生コメンタリーつき。原監督が、かつて声優のことを評したコメントが数年越しで炎上してる件で疲れてた。文脈としては沖浦啓之監督の「人狼 JIN-ROH」の感想として、

この映画にはアニメの気持ち悪さが全く無い。気持ち悪いキャラや、それに合わせて気持ち悪い声を出す声優や、勘違いした演出家などが放つ自意識過剰なナルシズムとかのろくてもないもの。そういった気持ち悪さがこの「人狼」には無い
http://ganime.web.fc2.com/discussion/posting_sasakim_2-2.html

ということを書いていて、この「気持ち悪い声を出す声優」の部分が取りざたされた、と。上記、テキスト孫引き元の方は人狼を見て「どう考えても日本でよく見る「オタアニメ」だったよ。紛れもなく。」と突っ込んでるけど。人狼がどうであったかはさておき、この件については後年、「そういう声を出すように演技指導している方が悪いのかもしれない」と原恵一自身が反省しているので、「声優が気持ち悪い(だから俳優を使うよ)」って話ではなく、いわゆる「アニメ的なもの」に対する自己批判というか自己反省だったんじゃないかなーと。
 で、百日紅。原監督自身があちこちで言っていることがその通りで、杉浦日向子の原作が、絵の癖はあるけれども、足し引き不要なものとしてできあがっているから、大変だったろうなということ。四季を織り込みたかったとのことなんだが、どうしても原作と同じく短編連作を見ているような気持ちになる部分があり、1本の物語になりきれていない部分が。その中でも江戸風俗の描き方は、本人が江戸風俗研究家だった杉浦日向子の描写を壊さないように映像化しているので、「SFお江戸」的なものではなく、生き生きと、いかにもそうであったかのような江戸が描かれていて、とても美しい作品。
 音楽は、これもまた杉浦日向子がロック好きだったこともあって、劇伴の大半とEDがロック。好き嫌いは分かれるかも。
 背景動画(背動)でやることにこだわったというお栄が走るシーンは、BDが出たらそこだけ盛り上がるかもしれないですね。キャラクターも、杏の声と相まって太眉お栄さんすごく好きなんだけどね。