ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

伏 鉄砲娘の捕物帳 (2012)

 @TOHOシネマズなんば スクリーン1
 テアトル配給作品でさほど目立った存在でもないのに、TOHOシネマズなんば最大のスクリーンで見られるとは思わなかった。まぁ、予想通りレイトショーとはいえ初週の客入りとは思えない人数でしたけども……まどか☆マギカじゃないから、しょうがないね。
 原作アリで、さらにその下敷きに南総里見八犬伝があるけれど、八犬士の時代よりは下っているという設定。原作は三部構成になってるそうだが、そのうち山から出てきた猟師・浜路を主人公としたボーイ・ミーツ・ガール、いやガール・ミーツ・ボーイ的なところに落ち着いている。宮地昌幸監督といえば「忘却のザムド」でいかにもボンズのドロドロアクション+ボーイ・ミーツ・ガールをやったけれど、類型としては間違いなくこの系譜。
 江戸風俗を描いた作品としては、正直、昨今の時代劇ドラマみたいにロケーションが限られてしまってどの作品を見ても同じような絵面ばっかりという制約から解き放たれて、かなり自由に作れていた印象。江戸城だけは極端に描かれているけれど、そのほかはウソを織り交ぜられていても気付かないぐらいに没入できる江戸時代だった。※江戸『風味』であって江戸時代そのものではないのがミソなのかも。
 一方で、ストーリーはどうにも弱っちいというか、心の整理がつかないままに前へ進んでしまうというか。凍鶴との戦いが、「え、もうやっちゃうんだ」ぐらいにあっさりだったので……その時点で、道節と浜路の心にちょっとズレが出てくるというところなので、流されるままに凍鶴を撃ってしまった浜路の後悔ともつかない気持ちということであれば、見ていて心が重なっていたのかもしれない。でも、吉原一の花魁行列を混乱させて用心棒とかも出てこず、ただ狩られてしまうって、そういうものなのかなぁという点は釈然としなかったけど。
 浜路ちゃんは野生児カワイイ、船虫さんはお色気カワイイ。船虫さんがふん縛られたときの太もものエロスは相当なものです、吉原の遊女たちよりもエロいもん。でも、相変わらずの俳優キャストが一部いただけないよなー。歌丸師匠は歌丸師匠にしか聞こえないし、Charaはないわ。ない。キャストの名前で客を呼べるような顔触れでもないのに、どうして中途半端にキャスティングをしたんだか。劇団ひとり竹中直人は(声優ではないと気付いたけれど)浮くほどではなかっただけに、残念。俳優キャストが嫌なのではなくて、声が出た瞬間にせっかくダイブしていた作品世界から現実に引き戻されるような人間を使うのはやめて欲しいというだけなのだけれど。