ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

ももへの手紙 (2012)

 @なんばパークスシネマ シアター10
 沖浦啓之監督がなんか作ってるという話だけは知っていて、絵柄を見て「うえぇ、これで今の時代いけんのかなぁ」と思いつつも、ふとなんばパークスシネマの上映スケジュールを確認したら舞台あいさつアリの先行上映会があって、席も若干空いていたので、足を運んできました。
 父を亡くした小学6年生のもも(CV:美山加恋)は母のいく子(CV:優香)とともに瀬戸内海の汐島へと引っ越すことに。そこで他の誰にも見えない妖怪(?)のイワ(CV:西田敏行)、カワ(CV:山寺宏一)、マメ(CV:チョー)と出会う。周りをうろちょろとして、食べ物を盗んだり小物を盗んだりしてくる彼らにももは呆れつつも、だんだんと馴染んでいく。しかし、彼らの盗みが原因でももはいく子とケンカしてしまう。
 雰囲気は同じ瀬戸内で妖怪も出てくる「かみちゅ!」っぽい。かみちゅ!はもっと萌えやすいデザインだったけれど、こちらはむしろ写実的で、影とか抜いてる部分はあっても、鼻がなくなったりしないし、目玉も切れ長じゃない。近いところで探すと「おもひでぽろぽろ」か。小学6年生の女の子が水着になって飛び込みをしているのに、サービスシーンって感じよりも健康さを感じるのもデザインのたまもの。イワたちも初見はかなり不気味なんだけど、愛嬌がある。
 ももは決して特別な女の子として描かれているわけではなくて、イワたちだって「すごい神様」なわけではなく、だからこそ1つ1つのドラマが生き生きとしている印象。「悪人」は出てこないけれど、それでも事件は起きるし、問題も起きる。日常を積み重ねて積み重ねて、そしてクライマックスの一大事件へという構成も丁寧で、2時間強でも退屈しなかった。
 芸能人起用映画だと出てきた瞬間に「うへぇ……これを聞き続けるの?」って思うことがあるけれど、それもなく、むしろ美山加恋の上手さはちょっとビビった。声質は若いころの高山みなみっぽく、演技も自然体で、十分に「声優」と呼べる仕事内容。優香も西田敏行も違和感ナシ、特に西田敏行はアテ書きしたかのようなハマり具合。山ちゃんとチョーさんの技術は言うに及ばず。
 キービジュアルだけ見て「なんか地味っぽい」とか、出演者を見て「タレント起用か」とか、そういう理由では敬遠して欲しくない作品。いいアニメーションしてますよコレは。ちなみに、来場者は19時開始ってこともあってけっこう大人が多め。ラスト近くでは隣に座っていたおじいちゃんと、反対側の席にいたビジネスマンがともに泣いてたよ。