人材派遣会社でピエロとして仕事をしつつコメディアンを目指すアーサー・フレックは、あるとき酔っ払ったウェイン産業の社員3人から暴行を受け、反撃で射殺してしまう。折しも、ゴッサムシティは社会不安の中にあり、事件は貧困層から富裕層への逆襲と映り、大きなムーブメントと化す。
ジョーカーといえば、近作では「ダークナイト」のヒース・レジャーのものが強烈な印象を残したが、ホアキン・フェニックスの演じるこのアーサーもまた強烈。「悪のカリスマ」ではなく「貧困や病気に苦しむ一般大衆の1人」が、あまりにも厳しい社会の風当たりによって変化を余儀なくされていく感じは、ただただ息をのんでアーサーを見守っていくしかない。「アカデミー賞間違いなし」の評は伊達ではない。
吹っ切れてからのジョーカーの言動に快感を覚えてしまうのは、いいのやら悪いのやら。このジョーカーは「ダークナイト」につながっていってもおかしくない。そして、こうして生まれたジョーカーを、バットマン(ブルース・ウェイン)はどんな顔して成敗するつもりなんです?これ、次回作以降のバットマンをどんな顔して見りゃいいんだ。