ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

#09 In Your Memory

 分身と同化して意識を失ったままの奏を介抱しつつ、音無は自分が死んだときのことを克明に思い出していた。音無が乗った電車はトンネルの崩落事故に巻き込まれてしまい、音無は10人弱の人々とともにトンネルの中に閉じ込められてしまった。けが人の手当をしつつ、全員で生き残ろうとリーダーシップを発揮した音無だったが、内臓損傷から救助隊が来るのを目前に命を落としてしまっていたのだった。全てを思い出した音無に、奏は満足な気持ちになれたかと問う。奏はひどい学生時代を送った人間がやってくるこの世界で、人生は理不尽ではないと満足感を与え卒業(成仏)させていたのだ。その目的を初めて知った音無は、岩沢が消えていったこと、日向が消えそうになったことを思い出し、納得する。そして、奏と協力して戦線メンバーを満足させてこの世界から卒業させるために動き始める。
 この世界の謎がようやくほぼ明らかになった。音無が最初からストレートに奏に聞いていれば、奏はちゃんと答えてくれていたのかも知れないと思うとなんて回り道かと思うけれど、満足して消えていくことこそがこの世界の存在する理由だったわけだ。学校形式になっているのは、ここに来る死者が不幸せな学生時代を過ごしていたから。そういえば、過去のある程度わかっているゆり、音無、日向、岩沢、直井は誰も彼も学生時代はあんまり幸せじゃないか、そもそもそういう生活が存在していなかった。そうじゃない人は、きっと他の世界にいるんだろう。音無は「戦線のみんなを卒業させること」が目的になったから、消えるのは最後になりそうだけれど、日向はともかく、ゆりなんてどうやったら卒業できるんだろう……。