ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

劇場版フリクリ オルタナ(2018)

 伝説のOVAシリーズ「フリクリ」の続編。「2」「3」の同時制作が発表され、それぞれ「プログレ」「オルタナ」のタイトルになったので、このオルタナはナンバリングでいうとシリーズ3作目だったはず。時間軸としても「フリクリ」よりは後の時代を描いているようだが、舞台となっている世界はナオ太たちがいた世界とは別らしい。今回は思春期の少女たち4人グループ、特に、もやっとした青春を過ごすカナに焦点が当てられる。なお、「フリクリ」には熱狂的なファンも多いのだが(知り合いにも1人)、自分は良作だとは思ったもののズブッと刺さったわけではないので、そこまでの熱ではなく……。
 無印のときは「意味ありげな存在」だったアイロンが、はっきりと「この世界をフラットにするためのもので、人類にとっての脅威」として描かれるし、何より少女たちを振り回す存在として「ベスパの女」ハル子がまたも現れるので、「フリクリの続編」とわかるのだが、しかしこのハル子は無印ハル子とは別人としか思えない(アトムスクへの執着を一切口にしない&わりと地球のために戦っている)ところは「フリクリパチモノ」感もあり、そのへんも含めてオルタナ(オルタナティブ=代替)か。
 無印でも問われた「フリクリとは?」は本作でも頭の中をぐるぐる回ることになるが、まずは「あのハルハラ・ハル子」であり、そして「the pillows」であろうと。楽曲の歌詞と作品がリンクしているとかではなく、フリクリフリクリらしさとして、欲しいところに欲しいthe pillowsの曲が流れているということがあると思う。ところが、本作のthe pillows楽曲は、「the pillowsの曲を使わなければフリクリっぽくない」という方向からつけられているような感じで、前半は「おっと、そこでそういう曲か」だったし、後半は「ここでアレは来ないの?」だった。パ
 「フリクリ鶴巻和哉のプライベートフィルム」とはハル子役・新谷真弓の言葉。文字どおり、別人があのフリクリをそのまま作るのは難しいという意味で、だからこそ、「では、あなたのフリクリは?」ということが求められたのが本作とプログレだった。上村泰監督は、ハル子もエキセントリックな言動はともかくとしてコアの部分を微妙に変化させ、出会うキャラクターたちもナオ太たち無印のキャラクターを感じさせないものにして、フリクリでありつつも無印とは違うオルタナらしさを出したのだろう。「こんなのフリクリじゃない!」と言うのは簡単だが、そりゃあ、監督が違うから無理なわけなので、それを上村監督に突きつけてもしょうがない。……と、ある程度気持ちが落ち着いた今なら思うわけです。