ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

#10 四畳半主義者

 薔薇色の学生生活などあるはずがない、と割り切った「私」は四畳半に引きこもって生活することになった。あるとき、そんな生活にも飽きて外に出ようかと思い立ったのだが、四畳半の玄関を開けるとそこにもまた四畳半が広がっていた。窓を開けても天井をめくっても四畳半、あまりにSF的な四畳半世界に「私」は陥っていたのだった。多くの四畳半を横断するうちに、自分が選ばなかった可能性の世界・パラレルワールドの四畳半を横断しているのだと気付く「私」は、同時に、可能性が無限に広がっている=四畳半世界も無限に広がっているということに向き合うことになる。
 これまでは大学に入りサークルに入るところから三回生になって他の生活を選んでいればと後悔するまでの時間を過ごしてきたが、その四畳半を横に見ていくとこうなっていたのか。回想の中で小津も羽貫さんも師匠も登場しはしたけれど、演じたのは「私」だったというのが孤独度合いを深めている。#05 ソフトボールサークル「ほんわか」で登場したひげもじゃの「私」はコレだったのね……。あのときの「私」は絶望に沈み、もし他の可能性を選んでいたらと思っていたけれど、いろいろな四畳半を見た「私」なら、「その世界だって悪くはないよ」と言えたのに。今回の「私」が感じた絶望ほどのものはないと思うよ。