ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

劇場版マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜 (2009)

 マクロスフロンティア船団内の飛行学校に通う早乙女アルトは、クラスメイトのミシェルやルカとともに、マクロスギャラクシー船団からやってきた”銀河の妖精シェリル・ノームのコンサートでのパイロットを任される。しかし、そのコンサートのクライマックスにバジュラと呼ばれる謎の敵が襲来、会場は大混乱に陥る。シェリルを助けたアルトは、旧知の仲のランカ・リーが危ないのを見て助けに割って入り、その成り行きから民間軍事会社SMSに入隊することになる。フロンティア船団とギャラクシー船団は明確ではないものの対立関係にあり、ギャラクシーはフロンティアが先にバジュラの母星を見つけて植民地にする気なのではないかと考えている一方、フロンティアはギャラクシーがスパイを送り込んでいるのではないかと疑っていた。シェリルとアルトがデートしたり、ランカが歌手を目指してがんばる中、ギャラクシー船団はバジュラの襲撃を受け壊滅状態に陥っていたがフロンティアはSOSを知りつつ握りつぶした。シェリルはリベンジコンサート前にそれを知り、SMSにギャラクシー船団の難民船を助けるよう依頼する。それを引き受けたSMSは難民船救助に向かうが、今度はバジュラはフロンティアに向かってきた。人々が逃げ惑う中、シェリルは自分の歌でもバジュラに影響を与えられるのではないかと歌い始める。ランカはシェリルらを助けるためバジュラを引きつける囮になり攫われるが、アルトが救出に向かうのだった。
 「マクロスF」と「イツワリノウタヒメ」の関係は、「超時空要塞マクロス」とその劇場版「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」のようなもの。テレビシリーズにあったシーンは確かに使われているけれど、そのままのニュアンスだったり、巧みにすり替えられていたり。換骨奪胎とはこのことか、と思わされる。いちおうこの「イツワリノウタヒメ」ではメインビジュアルでシェリルがプッシュされているとおり、メインヒロインはシェリルになっていて、テレビシリーズよりもアルトとシェリルのデートがじっくり描かれていた。そもそもアルトとランカはシェリルのコンサート前に初めて知り合ったのではなく、それ以前からの知り合いというように変更されていて、ランカとアルトの付き合いが幼なじみ的な遠さになっていた。
 しかし、シェリルがギャラクシー船団のスパイではないかと疑われるくだりでは、アイくんを追いかけるランカとシェリルを見かけたアルトが、シェリルがランカを襲おうとしているものだと勘違いして殴り飛ばすなど、アルトがランカの方を大事に考えたような面も。また、テレビシリーズではファーストコンサート時にあった、落下するランカをアルトがバルキリーで助けるシーンが、そのままラスト近くでバジュラに攫われたランカをアルトが助けるという形で再現されていて、ランカを選んだな感も。
 バトル描写はもちろんあの地上デジタル放送で見られた美しいもの以上のクオリティを劇場のスクリーンで見られたので大満足だが、忘れてはいけないのはシェリルのライブシーンだろう。テレビではライブもスゴイが比重はバトル描写って感じだったが、今回はライブもぬかりなし。さすがは銀河の妖精とうならされるライブ。2010年のリン・ミンメイ(超時空要塞マクロス)、2040年のシャロン・アップル(マクロスプラス)、2045年FIRE BOMBER(マクロス7)、そして2059年シェリル・ノーム……と劇中コンサートでも紹介されていたけれど、銀河クラスの歌姫ですわ。
 劇場版後編となる「サヨナラノツバサ」はこの流れだと完全オリジナルか。アルト姫が優柔不断なまま終わらないことを祈る。