ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

ダウンサイズ(Downsizing、2017)

 人間を約13cmに小さくする「ダウンサイズ」技術が開発された未来。豊かとはいえない暮らしを送る理学療法士のポールは、ダウンサイズで妻と共に憧れのセレブ生活を送る予定だったが、妻が直前で手術から逃走した上に離婚する羽目に。もう元には戻れないダウンサイズ生活の中で、ポールはおかしな隣人ドゥシャン、そしてドゥシャンの部屋の清掃係に混じっていた、ダウンサイズで不法入国しようとしたグループの唯一の生き残りノク・ラン・トランと出会う。
 ダウンサイズするだけでも面白いけれど、映画にするからには何かしら転がしていく必要があるので、ダウンサイズを生かして何かの危機を乗り越えるのか、あるいはダウンサイズ世界に訪れる思いもよらない事件に巻き込まれるのかと思っていたら、強烈な現代風刺であったとは。
 まぁマット・デイモンがいろいろな問題に巻き込まれてる姿だけで面白いんだけれど、やはりスゴいのはあくまでサブキャラクターなのに強烈な存在感を放つドゥシャン役のクリストフ・ヴァルツ。ありとあらゆる言動が胡散臭いけれど、どこか憎めないおちゃめさ。特に素晴らしかったのは、ポールとノク・ランが揃ってボートの操舵室にやってきたときの、「わかってるぜ」という訳知り顔でニヤニヤしているという表情芝居。冷やかしの声をかけるでなく、ただ船長の隣でニヤニヤしているだけなんだけれど、映画館で笑いが起きたもの。そして、その船長役がかのフランケンシュタイン&ドラキュラを両方演じたことがある怪優ウド・キア虹彩の色素がすごく薄くて引き込まれる目をしている。そしてそして、まさかのヒロインだったノク・ラン役のホン・チャウ。ベトナム出身で「ダム建設で村が沈むから反対運動をしたら、政府に目を付けられてダウンサイズさせられた」という役どころ(本人はタイ出身)。大阪のおばちゃんよろしく、訛りの強い英語を機関銃のようにぶっ放してポールを鼻白ませるキャラクターはインパクト大。初登場時は「いかにも小汚いおばさん」の雰囲気なのに、ボートでノルウェーフィヨルドを行くあたりになるとかわいく見えてくるから面白い。メイクとかヘアセットのせいというのはあるけど。
 あくまで「細胞を小さくする」技術なので、歯の詰め物は小さくできず、手術前に取り外しを忘れると頭が破裂して死んでしまうという設定があったりして面白いのだが、だったら、ダウンサイズ後の「もの」は最初から小さく作るか、ダウンサイズした人が作っているということになるはずで、果たして、テレビカメラや室内の細かい装飾類まで作れるような工作機械をダウンサイズ後の大きさで作れるのだろうか?と思ったが、そこをツッコんでしまうといろいろ具合が悪いのでスルー。ダウンサイズ直後に「おなかがすいてるでしょう」と看護士が通常サイズのクラッカーを持ってきて「これウケるのよ」って言ってたけど、実際「0円食堂」的に、通常サイズの人間なら「切れ端」ぐらいの食材がダウンサイズ後には1食分ぐらいになるはずで、そのあたりの描写があっても面白かったかも。尺だけ伸びてどうにもならなくなりそうだが。