ヴァン・ホッパー夫人に雇われた付き人の「わたし」は、モンテカルロでマキシム・ド・ウィンターというイギリスの富豪と出会う。出会いこそあまり印象の良くない二人だったが、ホッパー夫人が風邪で寝込んでいる間に親しい仲になり、ホッパー夫人が娘の婚約のためニューヨークに発つその日に婚約する。晴れてマキシムの所有するマンダレーの屋敷に住むことになった「わたし」は女主人としてがんばる決意を固めるが、ハウスキーパーであり前妻レベッカの付き人でもあったダンヴァーズ夫人は冷たくあたるのだった。
ヒッチコック監督作品ということで、久々に「午前10時の映画祭」に行ってきた。事前知識がサイコと入り交じっていたことで、どこかで「わたし」が死ぬのではないかとハラハラしたが、そのせいもあって見事に作り手の思うがままにストーリーに翻弄された。丁寧に追っていけばマキシムがレベッカのことをどう思っていたのかはかなり早い段階で気付けるはずなんだけれど、「わたし」も観客も、周囲の風評に完全に惑わされているから、マンダレーの誰をも信用できないというのが非常にスリリング。まさにレベッカの思い通りにすべてが運んでいる。
吹替DVDでは「わたし」を本田貴子が、マキシムを小山力也が演じているものがあるらしいけれど、本田貴子だとちょっと強すぎる印象が。