ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

昼下りの情事(原題:Love in the Afternoon、1957)

 辣腕探偵のクロード・シャバッスは、とある実業家X氏から妻の浮気調査を依頼されていた。不倫相手はアメリカ人富豪のフランク・フラナガン(演:ゲイリー・クーパー)で、これまでにも世界各国で浮き名を流してきた有名な好色家だった。報告を聞いたX氏は憤慨し、フラナガンを今夜10時に撃つと言い残して出て行ってしまった。それを隣の部屋で盗み聞きしていたクロードの娘アリアーヌ(演:オードリー・ヘプバーン)は、この事件を防ごうと警察に電話するが取り合ってもらえない。そこで、自らホテルに乗り込むことにする。すんでの所でX氏に先行したアリアーヌは、X夫人の代わりにクロードの相手を演じてX氏を追い返すことに成功、夫人も無事脱出する。しかし、アリアーヌ自身がフラナガンの興味の対象となり……。
 あくまでパリ滞在中にちょっとした遊びで女の子を引っかけた気分の経験豊富な大富豪と、そんな大富豪に”特別な”初めての恋をした女の子。父の資料で不倫の情報をいろいろ掴んでいたアリアーヌが、それを使ってフラナガンをじわじわと嫉妬させ翻弄していく様子は、女の子はもちろん男性も憧れる…かな?一歩間違えばドロドロの恋愛劇になりそうなんだけれど、ヘプバーンのさばさばした雰囲気とトントンと進んでいくテンポのおかげでラブコメのように軽やかに展開する。それだけに、「love and run(愛して逃げる)」を信条とするフラナガンが、アリアーヌが虚勢を張っていたことを知ってどうするかと思ったけれど、大団円。美しい。撮影当時50代後半のクーパーの大人の色気は、男性から見ても素敵。4人組楽団も華を添えていた。