ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

#20 明日を見つめて<終>

 最終回ではなぜかアスミ達が子供に戻っていたり、気になるところが色々あるがまとまらないながらに書いてみる。
 すでに佐野先生の話あたりで「宇宙へ行くことは綺麗事じゃない」とみんな実感しているはず。表には出てきていないが、ロケットの開発に絡む利害とか、誰が飛行士になるかとか、獅子号墜落の責任とか、宇宙へ行くにはただ憧れているというだけではダメなのかも知れない、と思わされる。
 圭はテストの中で「アームストロング船長の写真によって宇宙への憧れを抱いた」と言っていた。これは最終回でも繰り返されていたが、彼女は宇宙学校で現実は甘くないと思い知らされている。五人の中で、宇宙飛行士になれないかもという危機感では彼女がトップではないか?
 秋は「そこに宇宙があるから」宇宙へ行くと言っているが、眉を剃った理由などからも見えるとおり、あっさりと学校に入学できたわけではない。
 万里香は「自分の居場所は宇宙にしかないのではないか」という思いから宇宙を目指している。体の問題などでの苦悩は絶えない。
 そんな彼らの前に燦然と現れたのが鴨川アスミ。アスミのおそろしいところは、「みんなで宇宙に行ける」と信じて疑わない純粋な思い。優しさというか、仲間への思いは人一倍強く、閉鎖環境テストで圭と万里香が対立した時も中に割って入ったし(三人部屋ゆえにアスミが止めるしかなかったのはもちろんだが)、あんなに辛くあたった佐野先生にですら「思いは同じですよね」なんて言えてしまう。そんな彼女を見て、圭・秋・府中野・万里香はその背中を追いかけていたのではないか。
 最終回でのアスミの行動は、彼女を宇宙から遠ざける結果を生みかねない行動だったが、ここまでのアスミを見ていればこの行動は納得がいく。アスミは決して他者を見捨てて宇宙に行こうとはせず「絶対に五人で行くぞ」と誓っているから。万里香の身に何か起こったかも知れず、既に助けられた後かも知れないが、それを確認せずにはいられないのである。
 さて、獅子号の飛行士だったライオンさんが、獅子号事件で母を失ったアスミのもとに出てきたのは何とも不思議な縁だが、そのライオンさんによってアスミは宇宙飛行士候補生となったといえる。しかしまた、アスミの力によって、圭ら四人は宇宙飛行士を目指し続けることができているのではないか、なんて思えるのである。上に書いたとおり。府中野なんて、アスミが宇宙飛行士を目指すから自分も宇宙飛行士コースに、だ。
 最終回で、五人が揃ったところでライオンさんはハーモニカを残して消えてしまう(成仏?)が、これはライオンさんが役目を果たしたからだろうか。自分には、ライオンさんを追っかけるアスミ、そのアスミを追っかける四人という構図がここで終わって、五人が一つになったということなのかなぁ、なんて考えてみた。
 あのちびアスミ達は、色んな思惑から解き放たれて、子供の頃の心に戻ったということだろうか?
 感想こそ全話書けなかったが、全話視聴してみてかなりの良作であったと思う。もちろん、全20話というなんだか中途半端な量だが、終盤の原作とは違う展開は頑張っていた。結局何も解決していないような気がするが、万里香がアスミによって補完されたからいいんじゃなかろうか(最後は適当)。