ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

コクリコ坂から (2011)

 松崎海は下宿屋・コクリコ荘を切り盛りしつつ高校に通っていた。彼女は幼いころに父親を朝鮮戦争の事故で亡くし、それ以来、ずっとUW旗を毎朝掲揚していた。毎朝タグボート通学している風間俊は毎日それを見て返答旗を上げていた。それには全く気付いていなかった海は、下宿している美大生・広小路の絵でそれを知る。俊は学内で発行されている週刊カルチェラタンの執筆者で、折しも週刊カルチェラタン編集部や哲学研究部などが入居する明治以来の建物・清風荘(通称カルチェラタン)がクラブハウス建設のために建て替えが行われようとしていた。俊と仲良くなった海は、建て替え阻止のために生徒会長とともに理事長へ直談判を行う。その一方で、海の父親が大事にしていた写真から、俊の出生の秘密が明らかになり……。
 正直なところ宮崎吾朗監督の前作「ゲド戦記」はもう泣きたくなるほどにつまらなかったが、本作では宮崎駿が企画・脚本・絵コンテとして関わったためか、フィルム力が格段にアップし、一本通して見られる作品に。カルチェラタンの建て替え問題と、俊の出生問題の2本きっちり問題を立てて、両方とも解決するからそれなりのカタルシスが得られたというのも大きい気が。
 東京オリンピック前年(1963年)という設定に親近感を持つような世代はメインの観客ではないが、情熱溢れるカルチェラタンの住民たちの姿には世代を超えて熱くなれるものがある。逆に、それを「むさくるしい青春だな……」と思うような人はあまりこの映画を楽しむことはできないかも。