ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

イングロリアス・バスターズ(原題:Inglourious Basterds、2009)

 1941年、ナチスに占領されたフランスで”ユダヤ・ハンター”と呼ばれるSSのハンス・ランダ大佐はユダヤ人狩りを行っていたが、ショシャナ・ドレフュスは目の前で一家を惨殺されながらもランダの手を逃れることに成功する。そのころ、連合軍はアルド・レイン中尉を中心に”イングロリアス・バスターズ”と呼ばれる特殊部隊を結成、ナチを文字通り血祭りに上げていた。4年後、ショシャナはフランス人・ミミューとしてパリの映画館主となっていた。ショシャナは若いドイツ兵フレデリック・ツォラーと知り合うが、ツォラーは戦争の英雄で、宣伝大臣ゲッベルスにより「国家の誇り」という映画の主演をつとめていた。ツォラーがショシャナを気に入ったことから、「国家の誇り」のプレミア上映はショシャナの映画館で行われることになる。かつての恨みを忘れていないショシャナはナチス首脳が集まるこのプレミア上映会で映画館ごと全員を焼き殺す計画を立てた。一方、”イングロリアス・バスターズ”にはドイツ映画に詳しいアーチー・ヒコックス中尉が加わり、このプレミア上映会を襲撃する”プレミア作戦”を立てていた……。
 R15指定で上映されいったい何が規制なのかと思ったが、レイン中尉の先祖がアパッチということでナチの頭の皮を剥ぐシーンがあってざくざくと頭切ってたり、バットでドイツ兵を殴り殺したり、ちょっと確かにハードな描写が散見された。クエンティン・タランティーノらしく(といっても全作見てきた訳じゃないけど)ご都合主義なところはほとんどなく、絶対に危険だという地下の酒場でのスパイとの合流ではもちろんドイツ兵と遭遇し、逃げ切ることができずに酒場にいた人間は一人を除いて全滅したり、レインらの”プレミア作戦”は映画館の警備に当たっていたランダに筒抜けだったり。もう気持ちいいほどに人が死ぬ。全5章構成のうちほとんどがナチにしてやられてばっかりで、ひょっとするとラストまで……と思わせられるので、結末にすごいカタルシスを感じた。いやぁ、ほんとスッキリした。
 俳優たちの上手さには唸らされるばかりだったが、特にスゴいのはハンス・ランダを演じたクリストフ・ヴァルツ。もしこのランダ大佐がいなければただナチを題材にしたヘボアクション映画になっていたかもしれない。表情からまったく心が読めない、本物の切れ者ナチ将校にしか見えなかった。また、ブラッド・ピットもこれだけの話に負けない存在感を見せていて、やっぱり一流は違うなと実感。