両親が離婚して母に引き取られた蓮だったが、母が交通事故で急死。親戚に引き取られるのを拒否して渋谷へと逃げだし、偶然「バケモノ」の熊徹と出会う。一度は見失ったものの、自分を追ってバケモノの世界・渋天街までやってきた蓮の根性を気に入った熊徹。名前をどうしても名乗ろうとしない蓮が9歳であることから「九太」と名付け、弟子として育てていく。最初はぶつかり合う2人だったが、いつしか心が通じ合うようになるが、17歳になったある日、偶然にも元の渋谷に戻って図書館で女子高生・楓と出会ったことから、九太は自分のことについて深く考えるようになる。
「劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」の細田守監督作品。原作ありの前2作は置いておいて、結婚して奥さんの実家が「田舎の大家族」だったことから誕生した「サマーウォーズ」、子どもが生まれてシングルマザーの子育てもの「おおかみこどもの雨と雪」と私小説のように実生活に近い作品を作っている。本作はそれと比べればかなり空想的で「細田守といえばケモショタ」という一部のイメージをダイレクトに裏付けるような中身だが、ストーリーがごったごたで、ラストの鯨との戦いにワクワクするものがない……。ピークが9歳九太と熊徹の修行シーンっぽく思えてしまう。
役所広司や宮粼あおいが極端にヘタってわけじゃないが、後半で宮野真守が出てくると「やっぱり声優でええやん」ってなる。