ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

風立ちぬ (2013)

 @大阪ステーションシティシネマ スクリーン9
 零戦を開発した三菱の堀越二郎技師を主人公とした作品で、ヒロインとして出てくる菜穂子は作家・堀辰雄の「風立ちぬ」「菜穂子」から。子ども向けじゃないから映画化するのはイヤだと宮崎駿がゴネたところを鈴木敏夫が押し切ったらしい。コレの予告編を映画上映後にねじ込んだり、クソみたいなこともするけれど、「売れるものを作る」という観点では鈴木P有能。庵野秀明が棒すぎるのは見る前からわかってるわけで、それは織り込み済み。しかし、ずっと見てると高めで素朴な庵野の声がピッタリに思えてきて、術中にはまってるのかもしれない。
 スタジオジブリ作品で、作中でヒロインが死ぬのは「火垂るの墓」の節子以来。草軽ホテルで出会った時点ですでに結核療養として来ているわけなので、結末が別れになってしまうのはしょうがないよね。しかし、そこが菜穂子をさらに魅力的に見せているのかも。2時間20分とわりとボリュームあるけど、これでもかなり削ってるみたいなところが見ていてもわかるのは、軽井沢でパラソルを拾ってくれた二郎に対して菜穂子と父が「電車の中では失礼なことを言っちゃった、謝らないと」「同じホテルだから大丈夫」みたいなこと言ってて、でもそんなシーンはないんだよなぁ。本当は軽井沢に向かう途中で再会があったんだろうか。それだと、菜穂子は二郎だと気付くよなぁ。
 てっきり、二郎と菜穂子は結ばれない運命だと思っていたので、結婚を申し込んでそれを受けて菜穂子の父もOKしてとんとん拍子だったのが意外だったよ。えらく二郎と菜穂子がちゅっちゅしてるのもジブリらしからぬ描写だなぁと思ったし、黒川家での結婚初夜、電気を消す二郎に「来て」と声をかける菜穂子さんはジブリ史上No.1でエロいかもしれない。
 何度見ても面白い作品だけれど、菜穂子さんとの別れを何度も味わうのは辛いなぁ。
 追記押井守富野由悠季は絶賛ではないが「宮崎駿が自身を描いた映画」だという認識でほぼ一致しているらしい。その一方、空戦シーンや戦わなくてもいいから飛行シーンが見られると思っていた人からは不評を買っている模様。言われてみれば、「アヒルの子」が落ちるあたりの話とラストを除くと、カプローニさんの飛行機のほうがよっぽど飛んでたね……。「紅の豚」の方がしっかり戦ってる。でも、空戦しなくてもいいかなって思ってしまって、なんだか申し訳ないや。