ヨタ話

無名アニ関民のアニメ&映画ライフログ

アパートの鍵貸します(原題:The Apartment、1960)

 商社に務めるバクスター(ジャック・レモン)は、自分のアパートを上司ら4人に貸すかわりに高い評価をもらっていた。ある日、それがシェルドレイク部長にバレて呼び出されるが、課長昇進を餌にバクスターを抱え込み、それ以来、部長もアパートの鍵を借りるようになる。バクスターは会社でも人気のエレベーターガール・フランを気に入っていて、課長昇進に気をよくして声をかけるがつれなく約束を破られる。実はフランこそが部長の相手だったのだ。離婚話をちらつかせながら関係を続けるシェルドレイク部長に疲れ果てた彼女は、バクスターのアパートとは知らず、クリスマスイブにその部屋で自殺未遂を企てる。一方、失恋したバクスターは行きずりの女性をアパートに呼び込むが、ちょうどその自殺未遂に気付く形となり、その後の面倒を見ることになる。
 決して二枚目とはいえないジャック・レモンの演じるサラリーマンの悲哀っぷり。自分はほとんどアパートにいなくて恋人もいないというのに、いつも日替わりで上司たちが女性を連れ込んでいるものだから隣人のドレイファス医師にはとんでもない女好きだと勘違いされていて、あまつさえフランの自殺未遂は自分のせいだと思われてしまうし、フランの兄には殴られるし、フランの看病を終えて結婚しようかと思ったら部長の離婚が成立してフランとの結婚を宣告されるし……。その分だけ、最後5分の大逆転が気持ちよい。かつて拳銃で自殺を図ったけれど度胸がなくてできなかったというフリも適度に効いていた。これだけテンポ良く見られれば、バクスターの不運も流れ去ってしまう。